2016年12月31日土曜日

表舞台と裏舞台

先日の続きでもあり、今年の締めくくりブログとして・・・・・。
豆撰の仕事は栃尾の油揚げ作りです。
入母屋作りの重厚な店構えは、欅の柱、天井は格天井と日本古来の趣をいかしています。
お店の中にあるショーケースには栃尾の油揚とお豆腐、お惣菜が賑やかに並べられています。
油揚げを買いに、街の人はもちろん、市外、県外の方々がたくさん足を運んでくださいます。
「いらっしゃいませ」と迎えるスタッフは、栃尾の油揚げの特徴や美味しい食べ方の説明をしながら、おすすめします。映画や小説に例えるならなら、ヒロイン的な存在です。
迎える側の笑顔でお客様の反応も違ってくるほど大切な役だと思っています。
お店でお客様の応対をする仕事が表の稼業なら、朝早くから工場で働く人はどうでしょうか?
まだ19歳になったばかりのRちゃんは、9月から新人パートで働いています。
澄んだ瞳の奥に、少しだけ自信がなさそうな不安が潜んでみえました。
彼女には同じパート立場の64歳のおばちゃんに指導をお願いしました。
ふたりのコンビは上下関係ではなく、いたわり関係とでもいいましょうか、自然と相手を想いながら
仕事を進めているようです。
表舞台と違って、黙々と油揚げの袋詰めをします。冷蔵庫、洗濯機、排水溝のお掃除はもちろんです。19歳の彼女にとって、この仕事は続くかどうか私も不安の毎日でした。
時々おばちゃんに「Rちゃんは大丈夫かしら?」と探りを入れます。すると「大丈夫、彼女はしっかりしています」と様子を話してくれます。
4か月はあっと言う間に過ぎました。
私の顔を見つめる不安な表情は少しずつ心を開く表情に変わってきていました。
今年最後の日、タイムカードを押して
「礼子さんありがとうございました。来年もよろしくお願いします」と彼女の方から声をかけてきてくれました。
「Rちゃん、ありがとうね。本当に良く頑張ったね。豆撰は大助かりだったわ」と私がいうと
彼女は私の目を見つめ、優しく、ちょっと恥ずかしそうにほほ笑むのでした。

豆撰の仕事は地道で繊細で、努力の積み重ねが必要です。
表の顔、表に出ることが少ない裏で働く人たち。
この人たちに支えられ豆撰は続いていると思っています。
そして、素敵な新人ふたりを迎えられたことに感謝、感謝の年でした。

今年一年豆撰を応援して下さった皆様、ブログを読んで下さった皆様
ありがとうございました。
来年もよろしくお願いいたします。

















スタッフは
「いらっしゃいませ」と迎え

2016年12月29日木曜日

癒しの声






今日と明日を乗り越えると
ようやく一年の締めくくりを迎えます。
師走中盤でインフルエンザにかかり途中下車してしまいましたが
ラストスパートの今週はフル回転、
朝7時半から夜の7時までの仕事は、息つく暇なく
荷物作りに追いかけられていました。
今年ばかりは還暦を過ぎて、若者とは違う体力に
がっかりしたり、これが当然と思ったりと、感情と体力のシーソゲームでした。
 そんな毎日の中で・・・・・・・。
9月に新入社員として豆撰の仲間入りをしてくれた19歳のSちゃんは
若いのに、とても気が利きます。おばさんが重い荷物は苦手と察知し
すぐに黙って、さりげなく手助けしてくれます。
一回教えたことは「はい、わかりました 」とはっきり応えます。
わからないことに対する質問も丁寧に聞いてきます。
この子はちょっと違う、今どきの子と違うと日々思って一緒に仕事をこなしてきました。
「Sちゃんは本当に気が利くね」と毎日誉めることばかりでした。
時には、間違うことも、その時は
本当に申し訳なさそうな顔で「すみませんでした、今度気をつけます」と応えます。
私も他のスタッフも彼女の好感度はアップするばかりです。
この忙しい毎日の中でイライラせずに仕事が出来たのはSちゃんのおかげだと思っています。

そして、気がついたのです。
彼女の「いらっしゃいませ。またお越しください」という声の素晴らしさです。
少し鼻にかかった甘い声・・・・・・そうそう「この世界の片隅に」のすずさんを演じた
のんさんの声に似ているのです。
彼女の声は張りがあり、元気がありそれでいて非常に優しい声なのです。
明日で豆撰も仕事納めです。
来年はイートインのお店作りに着手します。
Sちゃんの声はきっと、お客様のハートをとらえることでしょう。




2016年12月21日水曜日

翔ぶ少女

夕方になると、熱が上昇します。病院の検査結果はインフルエンザAの反応が出てしまいました。
夫も避難、もちろん豆撰からも完全に、治るまでは出社しないでくださいと電話通告が入りました。
それくらい常識です。わかっていますとも。
そこで先日購入し、次はこれだと枕元に置いてあった原田マハさんの「翔ぶ少女」を読みました。
本の帯「人は何度でも立ち上がれる」に魅せられたのです。
神戸震災がリアルに描かれています。主人公の丹華とお兄ちゃんと妹は震災孤児となり、
おっちゃんと暮らすようになる。丹華は恋を感じると羽が生えるのです。
このストリーには夢だったと片づけてはいけなと思いました。心の羽だから。
終盤は涙涙です。 ところが涙は悲しみの涙ではないのです。希望の涙に繋繋がるのです。
「生きて、生きて、生きぬくんや」とおっちゃんにふわっと救われたことを思い出し、
丹華は、私たちを助けてくれたおっちゃんを、今度は自分が助けてなければと必死になるのです。そして翔ぶ羽が再び生えるのです。
羽が生えてくるのは『心が風邪をひくから」丹華の想いが伝わるのです。
そして、おっちゃんを助けてくれたのはおっちゃんの実の息子。おっちゃんと息子の心の治療をしてくれたのは、丹華だったと。血がつがっていようがいまいが想いがあれば必ず通じるのでしょう。
新潟まで行き観た「この世界の片隅に」の映像と登場人物が重なるのです。

そんな事を思い浮かべなら眠りにはいると
羽は生えてきませんが、喉がヒリヒリ渇きその苦しさにうなされ
私はいつの間にかすずと丹華に乗り移つられたような不思議な夢をを見てしまいました。広島というキワードが重なり、なんだかとても不思議な夢で目を覚ましてしまいました。





2016年12月16日金曜日

家の中から・・・・・・雪景色。




昨夜は積もらなかった雪ですが
朝6時ころから降り始め、庭の木々は雪の花が咲きとてもきれいです。
雪が降るこんな日は、家の中は静まり返り、外の音も聞こえなくなるのです。
傘をさし学校に通う子どもたちの歩く姿も静かに感じます。
家の中から何気なく撮った写真を見つめると、雪国はモノクロームの世界なんだと
あらためて思う・・・・・・。
急に休みの入った私は
のんびりと朝食をとり、のんびりとお茶を飲む。
予定のない休日のせいか、たまっているお部屋の掃除も
日ごろ、手を抜いているキッチンの片付けも
やりたくない。
ぼーっとして、外をながめ、何も考えない。
これは、きっと静かな雪のせいです。
今日はなにもせず、ごろごろ猫のように過ごします。

2016年12月11日日曜日

映画「花蓮」の前に

今月17日より五藤利弘脚本監督作『花蓮〜かれん〜』年明けまで土浦セントラルシネマズで再公開のニュースが飛び込んできました。

この作品の前に「モノクロームの少女」との出会いがありました。
栃尾を舞台に少女と少年の初恋をテーマにした小さな恋の物語のような映画でした。
栃尾にはふたつの蔵元があります。
ひとつは越の鶴で有名な越銘醸さん、もうひとつは景虎で有名な諸橋酒造さんです。
この映画のポイントのひとつ、諸橋酒造さんのお屋敷はとても格式高い構えです。
私は道路沿いから垣間見るしかなかったお屋敷。故人となった俳優加藤武さんがそのお屋敷のご主人として映画に登場されております。見ることのできないお屋敷の映像に、とても感激したことを思い出します。
少し横道にそれますが、景虎の名前はNHK大河ドラマ「天と地と」の中で上杉謙信の幼名からと記憶しています。景虎を演じたのは中村光輝さん。青年期からは石坂浩二さん、その初恋のお相手は樫山文枝さんだったと思います。
栃尾の田舎町に二枚目俳優の石坂浩二さんがお見えになったことは、ビッグニュース、栃尾中に広がり大人から子供まで知らない人はいなかったはずです。
そして、「天と地と」から何十年か過ぎ、栃尾は再びスクリーンに戻ってきました。
恋人を追いかけて海外に飛び立った女性のモノクロ写真を見つけた高校生のふたりはその写真の女性を探す偶然の中で、恋をする。以前から抱いていた少年の恋心はザクロ味。
その少年役には、「千と千尋の神隠し」や「ガンダム」の主演などで人気声優だった入野自由さんが熱演されておられます。
栃尾の自然の中に佇む神社や石仏、石段を見事に描いています。
また、雁木通りからから入る小路は子供の頃毎日通った近道です。懐かしさとこの道をどうして知っているのと不思議に思いながら観賞していました。監督のこうした曲り道や街並みを見つける感性に驚きます。
再び「花蓮」が上映されると知り
花蓮の姉妹版のような「モノクロームの少女」も是非観ていただけたらと思いました。

また、「花蓮」に登場するちょっと気の強い(私に似ている?)ちょっと切ない恋心を演じた陽子役の
女優浦井なおさんから豆撰動画「ふるさと栃尾」のナレーションをしていただいております。撮影編集は五藤利弘監督です。想いを込めた動画です。こちらも是非ご覧いただきたいと思います。

2016年12月10日土曜日

この世界の片隅に

栃尾から新潟に向かう
最初はどんよりと灰色の雲におおわれ、白いものがチラチラ
高速にのると、いつの間にか青空になっていました。
まるで「この世界の片隅に」で主演していたすずさんの心のように……。

お友達が言いました。
「期待を裏切らない映画です」と。
まだ私が生まれる前の昭和の風景は、広島と栃尾ではとても距離があるはずなのに、描かれている自然、そして家の中に置かれている和ダンス、ちゃぶ台、かまどなどがとても柔らかく、懐かしさがこみ上げくるものでした。
主人公のすずさんの声はのんさん。のんさんがすずさんなのかすずさんがのんさんなのかわからなくなるほどピッタリな役。ちょっと甘くて、鼻にかかった声に引き込まれるのです。絵を描くことが大好きなすずさん、短くなった鉛筆を大切にするすずさん。なんて素敵な絵とストーリーでしょうか。
何気なく使っている言葉「よかった」を考えさせたり、当時のカフェで働く女性のことを考えさせたり、初恋から大人の恋に目覚めたり……。
ラジオから流れる雑音混じりの音を明治生まれだった祖母が
幼い私に繰り返し語ったことを思い出したり、
時々、大粒の涙をこぼす、すずさん。私の頬に熱いしずく。
時々、すずさんの優しい笑いに私もクスッと笑う。

「この世界の片隅に」が多くの人を映画館に引きつけた最大の理由は
柔らかい線だと思いました。戦争映画といえば、悲惨、残酷、のシーンをリアルに演出します。
この柔らかい線は戦争の定義からはみ出して、いつでも、どこでも
あなたと一緒にいたい気持ちがいっぱいでした。
私を含めみんなが心の片隅にこの気持ちを持っているはずです。
だから、
二度と戦争をしてはいけないはずです。

お友達の推薦通りの映画でした。
すずの心は青い空のようでした。





2016年12月7日水曜日

笑える夫婦…ゴミ箱から?

朝5時半
アメリカに住む娘は昼食にそばを作っていました。
私は例の通り栃尾の油揚げの煮物とアスパラ菜添えを調理中。
ふたりの会話は好き嫌いについて、昔の食事は至って原始的だったこと。
電子レンジはヨーロッパもアメリカもあまり使わないらしいなどなど・・・・・・。
たわいのない会話を繰り返していました。
「じゃあね、気をつけてね」を最後の合言葉でスカイプを切る。

そこに、飛び込んできた夫。
なにやら、ちょっといつもの顔と違う。
「おい、お前は俺が買ってやった指輪をぶちゃったのか?」
という。

結婚記念日を忘れていたのか、それとも30回目?(今年は37周年でしたが、なにもありませんでした)も過ぎると、どうでもいいと思ったのか
その時、猛烈に烈火のごとく、爆弾を投げ飛ばした妻。
その時、その爆弾の怖さにおののいた夫がその日に買ってきた指輪が夫の手のひらに
のっているではありませんか?
「えっ?どうしたの、私が捨てるわけないじゃないよ!落ちたのよきっと」
つまり、ベットの脇の棚からゴミ箱に転がったということです。
愛猫マメの仕業か、私が本をとったり、メガネをとったりした時の拍子だと思います。

ごみ箱の中から大昔それも、夫が買ってくれた時計が出てきたことがあり、それ以来夫はごみ収集課長となり
ごみ箱の中身を点検するようになったのです。
今回の騒動は私に落ち度があるわけですから
私は笑って「あら、よかった」とごまかしました。

なかなかいいネタです。
サザエおばさんはこうでなければいけません!?

2016年12月5日月曜日

笑える家族





ブログのタイトルを「笑える家族」と題して何を書こうと思ったのだろうか

タイトルだけが書かれていました。?
私のブログを読んで酷評している夫から
出かけに
「ブログ書いていないな」と言われました。
そして、ウドの写真のおまけつきでした。
私が畑に行ったわけでもなく、ウドの写真とブログと関係性は
はてさて、どこにあるのだろうか?

前回書こうと思った「笑える家族」は思い出せませんが

義母は豆腐と胡桃をいっぱい入れて、「ウドの白和え」を作ってくれました。
夫はウドの皮で佃煮を作りました。
私といえばお歳暮の荷作りやら伝票整理で夜遅くの帰宅・・・・・・。
テーブルに並べられた、ウドの白和えや酢味噌、そして佃煮を
栃尾のワインと一緒に味合いました。

これが私の笑える、あったか家族かもしれません。